2017年 10月 16日
10月15日(日曜)、雨。 上野国史跡めぐり、第7弾「綿貫古墳群+群馬県立歴史博物館」。 綿貫観音山古墳。 墳丘の検分を終え、説明板に目を通す。 本ページでは、説明板の内容を書き下し、<綿貫観音山古墳/資料編>としたい。 なお、説明板は4ヶ所にあり、一部、重複している内容もあるが、重複は無視して、すべてを綴り留めておくこととする。 説明板/その1。 -------------------------------------------- 史跡 観音山古墳 史跡指定 昭和48年4月14日 所在地 高崎市綿貫町字観音山 群馬県の古墳時代後期の代表的な前方後円墳である。 墳丘は、前方部を北北西に向け、全長97メートル、前頭部幅64メートル、高さ9メートル、後円部直径61メートル、高さ9.5メートルの規模で、ずべて盛土で築かれている。 中段部と墳頂部には埴輪の配列がある。 周堀は二重にめぐり、内堀と外堀は中堤で区分される。 全長178メートル、幅143メートルほどである。 石室は、後円部に築かれた巨大な横穴式石室で南西に開口する。 壁面は榛名山二ツ岳噴出の角閃石安山岩の切石を積み上げ、天井石は吉井町産出の牛伏砂岩が用いられている。 なお、出土品は県立歴史博物館に展示されている。 昭和56年3月 文化庁 群馬県教育委員会 -------------------------------------------- 平面図。 説明板/その2。 説明板/その2-(1)。 -------------------------------------------- 史跡 観音山古墳 概要 観音山古墳は二段からなる墳丘とそれを取り囲む二重の周堀をもつ6世紀終わり頃に築かれた前方後円墳です。 墳丘は、前方部を北北西に向け、全長が97m、後円部径61m、同高さ9.5m、前方部幅63m、同高さ9.1mで、すべて盛土で築かれています。 葺石はみられません。 中段部と墳丘部には埴輪が並べられていました。 周堀を含めた全長は178m、幅143mで、内堀と外堀は中堤帯で区分されています。 1.指定年月日 昭和48年4月14日 国指定 2.所在地 高崎市綿貫町字観音山 3.指定理由 古墳時代後期の上毛野地域の代表的な後期前方後円墳。 周堀・墳丘・主体部とも残りは良い。 金属工芸に優れた多量の副葬品が出土し、貴重である。 4.指定面積 18,908.92㎡ 5.管理者 群馬県教育委員会 -------------------------------------------- 航空写真。 全体図。 埋葬施設。 ------------------------------------------ 観音山古墳の埋葬施設 埋葬施設は、後円部に築かれた巨大な横穴式石室で、全長は12.5mあり、南西に開口しています。 壁面は榛名山二ツ岳噴出の角閃石安山岩の切石を積み上げ、天井石は古墳の南西約10kmにある牛伏山などからとれる砂岩の自然石を用いています。 ------------------------------------------ 説明板/その2-(2)。 ---------------------------------------------- 石室の中には、死者が生前に使用していたものなど、たくさんの品々がおさめられていました。 遺体は長い間に腐ってしまい、ごく少量の骨片と歯が見つかっただけでしたが、右側の壁の下には、鏡や玉、耳飾り、そして、刀や帯など、祭りの道具や権威を示す品物が置かれ、左壁の下にはよろい、冑をはじめ武具・武器類が置かれていました。 これらの副葬品の中には、奈良県の藤ノ木古墳や朝鮮半島の武寧王陵出土のものと類似するものもあり、最新の文化を積極的に取り入れた被葬者の姿を浮かびあがらせてくれます。 出土品については、近くの群馬県立歴史博物館に展示してあります。 ------------------------------------------------ 馬具の名前。 ※遺物の出土場所(図)・・・掲載割愛 ※権威の象徴/異形冑、脛当(写真)・・・掲載割愛 ※出土した金属工芸品/獣帯鏡、水瓶、金銅製大帯(写真)・・・掲載割愛 ※馬具のいろいろ(写真)・・・掲載割愛 -------------------------------------------- はにわの世界-古墳のまつりー 観音山古墳からは全国でも他に例のない「三人童女」をはじめとして、数多くの埴輪が出土しました。 その並べられていた状況から被葬者の生前の姿や、古墳のまつりの様子をうかがい知ることができます。 ------------------------------------------- 三人童女。 埴輪の配置(出土場所?)。 説明板/その2-(3)。 ---------------------------------------------- 古墳全体の設計図をつくり、それに基づいて現地で測量を行います。 そして、周堀を掘り、その土を盛り上げて墳丘の一段目をつくります。 後円部には角閃石安山岩の切石を積み、その上に運搬路を用いて運んだ巨大な牛伏岩の天井石を載せた石室をつくります。 石室の上に盛り土を重ね、最後に整形して完成となります。 ---------------------------------------------- 群馬県下の主要古墳。 本日のコース。 説明板/その3。 ---------------------------------------------- 観音山古墳の埴輪 群馬県には優れた埴輪がたくさん知られています。 なかでも、この観音山古墳からは造形的にも立派なものが多く発見されていることで有名です。 墳丘の頂上部には、後円部に円筒列で囲んだ中に、家・盾・にわとり・大刀、前方部にも家や盾など、ここに葬られた豪族の安住の館を表現したともいわれる埴輪が置かれていました。 中段の平坦面には、石室の入口付近に、祭りを行う一組の盛装した男女とその従者と考えられる三人童女、弓を負う武人、食物を捧げる人からなる祭神グループ、それに続いて、盛装の男子・甲冑を着けた武人・鍬を負う農夫などの葬送儀式に加わる人々とそれを警護する盾持ち人が続き、前方部には地位や財力を現す飾馬と馬引きなど、古墳時代の人々の生活や風俗習慣をうかがわせる埴輪が並べられていました。 これらの埴輪は、石室から発見された副葬品などとともに、群馬の森の県立歴史博物館で展示されています。 ---------------------------------------------- 説明板/その4。 石室開口部の脇に設けられた説明板に目を通す。 --------------------------------------- 観音山古墳の石室 大きさ 玄室長 8.25m 玄室幅 3.85m 全長 12.5m 羨道長 4.25m 羨道幅 2.48m 壁面は、角閃石安山岩の5面を加工した約30~40cmの切石を積み上げています。 一部にL字型の切り込みがあり、精密な技術がうかがえます。 天井石は、牛伏砂岩の自然石を用い、その最大のものは重さが約22トンもあります。 --------------------------------------- 石室内部。 壁面石積みのL字型切り込み。 石室実測図。 こうして、綿貫観音山古墳の見学を終えた。 次の訪問地、群馬県立歴史博物館までは2kmくらい。 県道13号線を南へ雨中行軍。 雨の中の古墳、これも乙なものであったと思いながら...。 フォト:2017年10月15日 =追記/2018年7月22日= 2018年7月14日、前橋市内で、群馬県立埋蔵文化財調査事業団創立40周年の記念講演会が開催された。 古墳めぐりの相棒、武衛さんと共に、これを聴講。 会場で配布された資料の表紙に古墳の写真が掲載されていた。 ページを繰ってみたが、この写真の古墳の名称は記載されていなかった。 1週間後、武衛さんから「先日の講演会の表紙の写真、どこの古墳かずっと気になっていました。電柱の間隔を長目に40mと見て墳丘長が100m位、平地で農村地帯にあり、形が良く保存状態もよい、をヒントに過去に訪ねた古墳を当てはめてみました。ビッタリのものが見つかりました。『綿貫観音山古墳』です。全景・横穴の位置・周濠 の広さや出入口の位置がピッタリ合うと思いますが如何でしょうか?」とのメールが到来した。 早速、グーグルで綿貫観音山古墳を検索。 グーグル・マップの航空写真と講演会資料の表紙の写真を照らし合わせてみた。 墳丘に設けられた歩道や階段の位置がピタリと一致。 武衛さんに「講演会の表紙。綿貫観音山古墳との判定。早速、グーグル航空写真で上空から俯瞰。お見事!ぴったり!」と返信。 これまでに探訪した古墳の数は数えていないが、武衛さんが表紙の写真の古墳を綿貫観音山古墳であることと言い当てたことは、数多くの古墳を訪ねて来た証である。 やっぱり、古墳めぐりは楽しい! (つづく)
by kazusanokami-2nd
| 2017-10-16 23:34
| 上野国史跡めぐり
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