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上総守が行く!(二代目)

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2017年 04月 27日

『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16

上野国史跡めぐり。
4月24日。上野国史跡めぐり、第二日目。
群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(渋川市北橘町下箱田)。

第13話では、金井東裏遺跡から出土した「甲(よろい)を着た古墳人」のレプリカをメインに綴った。
第14,15話では、金井東裏遺跡での出土状況についていろいろと綴った。
いよいよ、金井東裏遺跡の発掘調査に関わる展示のラストが近づいて来た。

金井東裏遺跡の発掘調査。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_09434621.jpg
(上段、右/説明文)
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_09452614.jpg
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奇跡の発見
金井東裏遺跡の発掘調査では、火砕流の下に埋もれた古墳時代の人々と、その生活、まわりの風景そのままを物語る遺構や遺物などが相次いで発見されました。
これまでの群馬県の発掘史上でも「奇跡の大発見」といえる出来事でした。
重要な発見が相次いだ4区と9区については、発見当時の様子を1/75の模型で再現しました。
榛名山麓の地下に眠る古墳時代の景観に思いをはせてご覧ください。
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(上段、左写真)
古墳の出土状況。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_09491311.jpg
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古墳は2基発見されました。
これはそのうちの1号古墳です。
向かって右側(東側)の埋葬施設には鉄刀と鉄剣が1振ずつ副葬されていました。
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(中段、右写真)
剣菱形杏葉(けんびしがたぎょうよう)の出土状況。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_09525812.jpg
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剣菱形杏葉(けんびしがたぎょうよう)は、古墳時代の馬の装飾品で、鉄製の地板に金メッキした銅版を被せたものです。
古墳の石室以外から出土するのは極めて珍しいです。
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(中段、左写真)
剣菱形杏葉(けんびしがたぎょうよう)解説図。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_09552818.jpg
(下段、左写真)
赤玉(あかだま)。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_00053809.jpg
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赤玉は、酸化第2鉄(ベンガラ)を混ぜた土をお団子のように丸めて固めたものです。
直径5.5~8cm、重さ350~400gほどです。
何に使ったのかはまだわかっていません。
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第14話でも「赤玉」について綴った。
そこでは「赤い色は、古墳時代には神聖な意味があったようで、土器や埴輪に塗られたほか、古墳の石室の壁に塗られることもある」、「今後、赤玉の成分や焼成の有無などの化学的な分析をしていく予定である」とのことであったが、この新たなパネルで「赤玉は酸化第2鉄(ベンガラ)を混ぜた土を団子のように丸めて固めたもの」であることがわかった。

(下段、右写真)
人や馬の足跡。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_00201425.jpg
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火砕流下の古墳時代の地面には、人や馬の足跡が鮮明に残っていました。
爪先の向きから火山灰の降った後、人々が山を背に逃げていたことがわかります。
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古墳人たちの足跡。
左/大、約24cm、央/中、約22cm、右/小、約16cm
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_00534560.jpg
足跡が見つかったときの様子。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_00542987.jpg
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足跡が見つかったときの様子です。
色の違う火砕流がところどころにあったことから、何かへこみがあるとわかりました。
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『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_00544651.jpg
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その一つを掘ってみたら、足の指がくっきりと現れました。
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NHKの番組では、足跡の様子から、力の入れ具合は、走っているのではなく、歩いている状態であることが分かり、人々は榛名山の噴火が起こっても、慌てて走ることなく、落ち着いて歩いて移動していると類推されるとの語られていた。

金井東裏遺跡の発掘調査/立体模型(縮尺ー1/75)。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_06414253.jpg
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金井東裏遺跡の発掘調査
立体模型(S=1/75)
金井東裏遺跡は群馬県渋川市の榛名山の北東麓にあります。
国道353金井バイパス(上信自動車道)建設に伴って、平成25・26年度に発掘調査が行われました。
西暦500年頃の古墳時代、榛名山二ツ岳の噴火による火山災害を受けた成人男性が鉄製の甲(よろい)を着たまま発見されました。
これは日本で初めての発見であったことから、国内外から注目されたいます。
この立体模型は「甲を着た古墳人」のほかにも重要な発見が相次いだ金井東裏遺跡4区・5区の噴火当時の地形と発見された遺構や遺物を立体的に示したものです。
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『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_06594941.jpg
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写真の奥に榛名山、手前に吾妻川、中央右の扇状地の末端部に金井東裏遺跡があります。
(2014年6月29日撮影)
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金井東裏遺跡と4区・9区の位置。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_07000691.jpg
立体模型。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_06273816.jpg
左/4区、右/9区。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_06271885.jpg
4区。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_16265540.jpg
拡大図、下段から上段へ。下段。(下から)2号人骨、甲を着た古墳人、2号甲~鉄矛。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_16272102.jpg
中段/左。(左から)首飾りの古墳人、道。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_16274030.jpg
中段/右。(左から)道、4号人骨、祭祀遺構(土器集積)。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_16280032.jpg
上段。(左から)鉄矛、道、溝。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_16290398.jpg
9区。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_16445645.jpg
拡大図、左右上下、4分割で。
左下/2号墳。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_17053445.jpg
右下/1号墳。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_17082349.jpg
左上/上から、剣菱形杏葉、竪穴住居、掘立柱建物、赤玉、道、平地建物。
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_17100506.jpg
右上。
(筆者コメント:掘立柱建物と赤玉の出土場所の右に広がるのは畝であろうか?)
『上野国史跡めぐり/群馬県埋蔵文化財研究センター/発掘情報館(Ⅳ)』 np-16_f0339895_17170875.jpg
第13話~第16話と4話に亘って、金井東裏遺跡に関する展示について綴った。
前日、金井東裏遺跡を訪ねたことでもあり、現場と展示を重ね合わせながらベンキョーすることが出来た。

次は、金井東裏遺跡から離れ、別のテーマの展示について綴っていきたい。

フォト:2017年4月24日

(つづく)


by kazusanokami-2nd | 2017-04-27 23:36 | 上野国史跡めぐり


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